絞り込み部分一致の廃止による、フレーズ一致の仕様変更を詳しく解説

検索広告の運用において、重要な要素の一つである、キーワードの「マッチタイプ」。Google は、このマッチタイプの一部の仕組みに対する仕様変更を2021年2月に発表し、2021年7月から変更が入っています。

その内容は、「フレーズ一致」と「絞り込み部分一致」が同じ用途で使用されているため、絞り込み部分一致をフレーズ一致に取り込み、絞り込み部分一致を廃止するいうもの。

「フレーズ一致」と「絞り込み部分一致」を組み合わせることで、従来よりも広告主に適した多くのユーザーに広告を表示できるということ。

【参考】Google広告ヘルプ「検索広告を目的のユーザーに表示しやすくするために」

しかし、今回の変更によって、「意図していたキーワードで配信されなくなる」「意図していないキーワードで配信されてしまう」ということも起こり得ます。

今回の仕様変更によって、具体的にどう出稿ワードがどう変わるのか、また、その影響度はどの程度なのか。ウェブマーケターや広報担当者にとって、理解しておいた方が良いポイントを詳しく解説していきます。

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検索広告における出稿ワードのマッチタイプ

検索広告におけるキーワードとは、ユーザーの検索語句(検索クエリ)と広告を一致させるために設定する出稿ワードです。

そのキーワードがユーザーの検索語句とマッチしたときに検索広告のオークションに乗ります。その際、どの程度キーワードとユーザーの検索語句の一致を求めるかを設定するのが、「マッチタイプ」となります。

まずは今回の仕様変更前まで使用されてきた Google 広告の以下のマッチタイプについてご説明します。

完全一致

完全一致は、Google広告の管理画面の検索キーワードで、キーワードの前後を [ ] で括って登録します。

Google広告の完全一致キーワード登録時のキャプチャー画面

完全一致のマッチタイプでは基本的に、キーワード(出稿ワード)とユーザーの検索語句が完全に一致した際に広告が表示されます。

しかし、勘違いしている方も多いのですが、完全に一致しない場合でも、同じ意味を持つと機械が判断した場合には、広告は表示(完全一致の類似パターン)されます。

例えば、出稿ワードを [データポータル アナリティクス] の完全一致として設定していた場合、完全に一致する「データポータル アナリティクス」という検索語句でもちろん広告が表示されますが、それ以外にも、

  • 「アナリティクス データ ポータル」
  • 「google データ ポータル アナリティクス」
  • 「ga データ ポータル」
  • 「google アナリティクス データ ポータル」

上記のような、検索語句でも広告が表示されるため、仕様をしっかりと理解しておきましょう。

Google広告の完全一致配信時の検索語句 キャプチャー画面

フレーズ一致 【仕様変更前】

フレーズ一致は、Google広告の管理画面の検索キーワードで、キーワードの前後を ” ” で括って登録します。

Google広告のフレーズ一致キーワード登録時のキャプチャー画面

仕様変更前のフレーズ一致のマッチタイプでは、出稿ワード(キーワード)がユーザーの検索語句に含まれていれば、そのキーワードの前後に、他のワードが追加されていても広告が表示されます。

例えば、出稿ワードを “メレダイヤ 買取” のフレーズ一致として設定していた場合、「メレダイヤ 買取」という検索語句でもちろん広告が表示されますが、それ以外にも、

  • 「メレダイヤ 買取 相場」
  • 「メレダイヤ 買取 価格」
  • 「メレダイヤ 買取り」

上記のような検索語句でも広告が表示されます。

Google広告のフレーズ一致配信時の検索語句 キャプチャー画面

逆に、「買取 メレダイヤ」というように語順が逆になった場合や、「メレダイヤ 東京 買取」のように間に別のワードが入った場合は、仕様変更前では広告は表示されませんでした。

絞り込み部分一致 【仕様変更前】

絞り込み部分一致は、Google広告の管理画面の検索キーワードで、キーワードの前に + を登録します。

Google広告の絞り込み部分一致キーワード登録時のキャプチャー画面

仕様変更前の絞り込み部分一致のマッチタイプでは、出稿ワード(キーワード)がユーザーの検索語句に含まれていれば、そのキーワードの前後や間に、他のワードが追加されていて、さらに出稿ワードと語順が違っていても広告が表示されます。

例えば、出稿ワードを +ゴルフ場 +初心者 +茨城 のフレーズ一致として設定していた場合、「ゴルフ場 初心者 茨城」という検索語句でもちろん広告が表示されますが、それ以外にも、

  • 「茨城 ゴルフ場 初心者」
  • 「茨城で初心者向けのゴルフ場」
  • 「茨城県 ゴルフ場 初心者向け」

上記のような検索語句でも広告が表示されます。

Google広告の絞り込み部分一致配信時の検索語句 キャプチャー画面
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部分一致

部分一致は、Google広告の管理画面の検索キーワードで、キーワードの前後に何も文字列を付けずにそのまま登録します。

Google広告の部分一致キーワード登録時のキャプチャー画面

部分一致のマッチタイプでは、出稿ワード(キーワード)に関連した検索語句であれば広告が表示されます。

例えば、出稿ワードを 福岡 歯科 インプラント の部分一致として設定していた場合、「 福岡 歯科 インプラント」という検索語句でもちろん広告が表示されますが、それ以外にも、

  • 「インプラント 値段 全部」
  • 「インプラント 名医 福岡」
  • 「インプラント 抗生剤」
  • 「インプラント 福岡」
  • 「インプラント 福岡 口コミ」

上記のような検索語句でも、出稿ワードとのテーマ性に関連性があると判断されれば広告が表示されます。

Google広告の部分一致配信時の検索語句 キャプチャー画面

仕様変更後 (絞り込み部分一致 廃止後) の新しい「フレーズ一致」の出稿範囲

前章でもご説明した、仕様変更前のフレーズ一致は、「出稿ワード(キーワード)がユーザーの検索語句に含まれていれば、そのキーワードの前後や間に、他のワードが追加されていても広告が表示されるけれども、語順が逆になった場合は、表示されない」というものでした。

しかし仕様変更後は、語順が違っていても同じ意味を持つと機械が判断した場合や、語句の間に他の単語が入った場合にも広告は表示されます

この変更により、従来の絞り込み部分一致との差異がほとんどなくなることになるため、絞り込み部分一致は廃止されることとなりました。

ただし注意点として、語順が違うことや、間に別の単語が入ることで意味が変わると機械が判断した場合は、広告は表示されないケースがあります。

また、2021年7月以降は新規で絞り込み部分一致キーワードを登録することが出来なくなっており、2021年7月以前に登録している絞り込み部分一致キーワードは、フレーズ一致として配信されていることも注意点として把握しておきましょう。

まとめ

如何でしたでしょうか?今回は、2021年7月から仕様変更が入っている、Google 広告の「絞り込み部分一致」マッチタイプの廃止に関して、変更点をご説明いたしました。

以前から Google 広告を運用されている方にとっては、必ず理解しておきたい内容です。

従来の絞り込み部分一致がフレーズ一致に部分的に取り込まれたものとなっていますが、クリティカルな影響は少ないですが、決して、絞り込み部分一致とフレーズ一致がイコール(同じ)になったというわけではありません。

従来の絞り込み部分一致での検索語句のマッチをそのまま想定していると、広告が表示されないケースもあるため、しっかりと変更点を理解しておくようにしましょう。

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