Google検索広告の重要な指標「品質スコア」|その決定要素と改善方法

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品質スコアとは

品質スコアとは、検索広告において1~10までの10段階で評価される、各出稿ワードに対する広告の評価です。品質スコアは、次章で説明する「広告ランク」に大きく影響します。

品質スコアが高い状態は、出稿しているワードと広告の親和性が高いと Google に判断されており、広告ランクで有利に働きます。

例えば、同じ条件(出稿ワードや入札単価)で A 社と B 社が競合している状態でも、品質スコアが高い方が、クリック単価を抑えて掲載することが可能になります。

そのため、品質スコアの指標をモニタリンクして改善することは、広告運用の戦略において重要な要素となります。

品質スコアの対策を考える前に、まずは次章にて、広告の掲載順位が決まる仕組みである「広告ランク」について詳しく見ていきましょう。

品質スコアと関係が深い「広告ランク」とは

広告ランクとは、Google が検索広告の掲載順位を決定する際に使用する値です。例えば、A 社とB 社が同じキーワードに出稿していた場合、広告ランクが高い方がより上位に表示されることになります。

厳密には、広告ランクの計算式は公開されていませんが、一般的に認知されている計算式は以下となります。

広告ランク=入札単価×品質スコア

実際には、上記計算式に「広告表示オプション」などの見込み効果の要素も加わるとされています。

広告はオークション方式のため、入札単価が高い方が単純に広告枠の上位に表示されると思われがちですが、実は「入札単価」と「品質スコア」を掛け合わせた数値で広告ランク(掲載順位)が決まるということです。

逆に言うと、競合する他社より入札単価が低くても、品質スコアが高ければ上位に表示される可能性があるということです。

品質スコアを向上するメリット

前章で、広告ランクと品質スコアの関係を説明いたしましたが、実際に品質スコア及び広告ランクが向上すると、どのようなメリットがあるかを続けて解説します。

ここで重要となるのが、実際にユーザーが広告を踏んだ時に発生する「クリック単価」が決まる仕組みです。

実際のクリック単価は、以下の計算式で算出されます。

クリック単価=ひとつ下の広告の広告ランク ÷ 自社の品質スコア + 1円

具体的に、下記の状況を想定した場合、

入札単価品質スコア広告ランク
A 社150円3450
B 社100円6600

上記のケースで広告枠の上位に表示されるのは、入札単価は低くても、より広告ランクの高い B 社です。そして、B 社の広告がクリックされた際に発生するクリック単価は、一つ下の広告である A 社の広告ランク「 450 」 ÷ B 社の品質スコア「 6 」+「 1 」= 76円 となります。

つまり、品質スコアが高ければ、競合よりも入札単価が低い状態であっても上位に表示されやすく、且つ、実際に発生する費用であるクリック単価も抑えることが出来るため有利に働くということです。

ここまでで、「品質スコア」を向上することが検索広告の運用するにあたって、いかに重要な要素であるかご理解頂けるかと思います。

品質スコアの確認方法

次に、検索広告を既に出稿している際に、品質スコアをどうやって確認するのか、Google 広告の管理画面のキャプチャとともに説明します。

Google 広告にログインしたら、品質スコアを確認したい対象の検索キャンペーンをクリックします。

「▼ キーワード」のメニュー項目の中にある、「検索キーワード」をクリックします。

出稿しているキーワードの一覧が表示されたら、「表示項目」をクリックします。

表示項目のリストの中にある「品質スコア」をクリックします。

「品質スコア」のチェックボックスにチェックを入れて、「適用」をクリックします。なお、品質スコアを確認する際は、次章でご説明する、品質スコアの決定要素となる「推定クリック率」「ランディングページの利便性」「広告の関連性」にもチェックを入れておくことをおすすめします。

表示列に「品質スコア」が追加され、キーワード毎の品質スコアを確認することが出来ます。

※品質スコアの列に「-」と表示されているケースは、そのキーワードと完全に一致する検索の件数が不十分で、品質スコアを算出できないことを示します。

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品質スコアが決まる3つの要素

ここからは最も重要な、品質スコアが決まる要素について説明します。各要素の内容を理解して対策を練ることが大切です。

以下に紹介する3要素は、「平均より上」「平均的」「平均より下」の3段階で評価されます。

広告の関連性

「広告の関連性」とは、キーワードに対するユーザーの検索意図と、自身が出稿している広告文のテーマ性の一致度です。

先ほどのケース(カミソリの具体的な商品を探しているユーザー)が、「カミソリ おすすめ」と検索したとします。

そのときに、「 つるすべ素肌を目指すなら、〇〇脱毛サロンへ 」という具合の広告文に表示された場合、ユーザーの検索意図との一致度は低い状態と言えます。

ムダ毛処理をするためにカミソリを探しているという意味では、テーマ性は必ずしも低くはないと思うかもしれませんが、このケースでは、ユーザーは明確に具体的なカミソリの商品を探しているわけです。

このケースでは恐らく、広告の利便性は「平均より下」という評価になってしまうでしょう。逆に、広告文が「カミソリのおすすめ人気ランキング」といった具合の広告文であった場合、「平均」または「平均より上」という評価になります。

ランディングページの利便性

「ランディングページの利便性」とは、キーワードに対するユーザーの検索意図と、広告をクリックしたときに表示されるランディングページのテーマ性の一致度です。

例えば、脱毛サロンへの来店を目的にしている広告主が、カミソリを購入しようと思っているユーザーをターゲットに広告を配信しようとして、「カミソリ おすすめ」をキーワードにして出稿するとします。

このとき、ユーザーの検索意図(ユーザーが探している情報)は、カミソリの具体的な商品であるはずです。しかし、広告主のランディングページは、サロンへの来店を目的としているために脱毛のサービスメニューや店舗紹介であった場合、ユーザーの検索意図との一致度は低い状態と言えます。

このケースでは恐らく、ランディングページの利便性は「平均より下」という評価になってしまうでしょう。逆に、ランディングページがおすすめのカミソリを紹介していて有益なコンテンツであった場合は、「平均」または「平均より上」という評価になります。

推定クリック率

「推定クリック率」とは、自身の広告が表示された場合にクリックされる可能性の高さです。出稿キーワードに対する、その広告の過去の検索結果の実績に基づいて、ユーザーにクリックされる推定の割合が判断されます。

広告の掲載順位をもとに、過去の表示回数(インプレッション)に対するクリック率の実績に基づいて推定値が判定されるので、実際のクリック率とは異なります。

品質スコアを高める方法

「広告の関連性」を上げるには

筆者の見解では、品質スコアを決める3つの要素の中で、最もコントロールしやすいのがこの「広告の関連性」です。

「広告の関連性」は、キーワードに対するユーザーの検索意図と、自身が出稿している広告文のテーマ性の一致度であると前章にてご説明しました。

言い換えると、出稿しているキーワードの検索意図と、自身の広告文を一致させることで関連性の向上を図ることができます。そのためには、出稿しているキーワードを広告文に組み込むのです。

検索広告の仕組みをよく知らないクライアントや第三者から、「もっと奇をてらうようなキャッチーな広告文(キラーコピー)を用意してほしい」といった要望がマーケターにくることがあると思います。

基本的な対策である「キーワードを組み込んだ」上でキラーコピーを用意出来るのであれば問題はありませんが、広告文の字数制限がある中で、そう上手く表現できるものではありません。

仮に、「キラーコピーを狙った、キーワードを組み込ない広告文」と、「キーワードを盛り込んで基本的な対策をした広告文」を同じ広告グループ内で設定した場合、ほとんどのケースで後者の方がパフォーマンスが良い傾向になります。

広告文にキーワードを組み込みながら作成することと同時に大切なのが、広告グループの構成です。なぜかと言うと、広告文は広告グループ単位で設定する仕様になっているためです。

仮に同じ広告グループ内にテーマの異なるキーワードが多く存在する場合、一つの広告文でそれら全てのキーワードを組み込みながら作成するのは困難となります。

究極に言えば、一つのキーワード対して一つの広告グループ(及び広告文)を用意するのが最もテーマ性を一致させられます

数個のキーワードでしか出稿していない場合は、それも可能でしょう。しかし、実際には多くのケースで、出稿しているキーワードの規模でそれをやろうとすると、とてつもない手間がかかってしまいます。

そのため、出稿するキーワード群に対して、テーマ毎にグルーピングを行い、そのグルーピング毎に広告グループ分けをすることで、広告文との一致度をある程度担保することが出来ます。

また、キーワードのマッチタイプも重要です。キーワードに対してより広い検索クエリで出稿される「フレーズ一致」や「部分一致」の場合、広告文との一致度を図るには調整が難しいわけです。

逆に、「完全一致」のマッチタイプを使用することで、検索クエリとのズレを最小限に抑えることが出来ます(現在の「完全一致」配信は、同じ意味であると機械が判断した場合、キーワードと完全には一致していなくても出稿されます)。

そのため、コンバージョンする確度の高いキーワードや、特に注力したいキーワードに対しては、「完全一致」で出稿する方が、「広告との関連性」が上がる可能性が高くなります。

「ランディングページの利便性」を上げるには

「ランディングページの利便性」は、キーワードに対するユーザーの検索意図と、広告をクリックしたときに表示されるランディングページのテーマ性の一致度であると前章にてご説明しました。

つまり、出稿しているキーワードの検索意図(ユーザーが求めている情報)をランディングページのコンテンツに組み込むことで、その関連性を高められるということです。

ここまで聞いてピンとくる方もいると思いますが、「ランディングページの利便性」の評価基準は、自然検索( SEO )で検索順位を決めるアルゴリズムと同じようなロジックが働くのです。

例えば、対象のランディングページがあるキーワードで自然検索で上位に表示されていたとします。そのキーワードに対して対象のページをランディングページに指定して広告を出稿するとどうなるかというと、筆者の経験上、ほとんどのケースでランディングページの利便性は「平均より上」という評価になります。

さきほどは「自然検索で上位」と言いましたが、上位(1ページ目の10位以内)ではなくても、少なくとも対象のキーワードでランディングページが自然検索で検索クエリにヒットしている状態(100位以内)であれば、ランディングページの利便性は、「平均より上」と評価される可能性が高いと思います。

他にも、下記のような対策が、ランディングページの利便性を高めるための施策として挙げられるので、もし改善の余地がある場合は反映を検討してみてください。

  • UX(ユーザー体験)の向上を図る…「ページの表示速度を早くする」「モバイルフレンドリーにする」「直帰率(離脱率)を改善する」など
  • 信頼性・透明性の向上を図る…「企業情報や個人情報保護方針を掲載する」「第三者のレビューを掲載する」「 FAQ(よくある質問)を掲載する」など

「推定クリック率」を上げるには

筆者の見解では、品質スコアを決める3つの要素の中で、最もコントロールが難しいのがこの「推定クリック率」です。

「推定クリック率」は、自身の広告が表示された場合にクリックされる可能性の高さであると前章にてご説明しました。過去のクリック率を参考に、今後推定されるクリック率を予想した指標というわけです。

クリック率自体は、その広告文がどれだけユーザーにとって有益そうでクリックしてみたいと思われているのかを示す指標であるため、現時点のクリック率を少しでも改善することが出来れば、「推定クリック率」も改善することが見込めます。

ユーザーが興味を持ち、クリックして詳細を確認してみたいと思ってもらうためには、広告文に対して、「限定訴求」や「価格訴求」、「実績などの具体的な数字訴求」を組み込むなどの施策が挙げられます。

しかし、上記のような訴求を意識しすぎて広告文がそればかりになってしまい、先ほどご説明した「広告の関連性」が薄まらないように注意しましょう。

複数のパターンの広告文を組み合わせて試していき、最もクリック率が高い広告文のパターンを見つけられるように PDCA を回していくことが大切です。

まとめ

如何でしたでしょうか? 今回は、検索広告の指標の一つである「品質スコア」に関して、その決定要素と向上するための施策についてご説明いたしました。

広告ランクやクリック単価が決まる仕組みを理解すると、いかに「品質スコア」が重要な指標であるかが分かると思います。

検索広告はオークション制のため、常に競合と競い合わなければなりません。「品質スコア」が向上するとクリック単価を抑える(費用を抑える)ことに繋がるため、競合よりも優位な条件で広告を回すことが出来ます。

まずは、自身の現在の品質スコアを確認し、もし改善の余地があるようであれば、是非ともこの記事で紹介した施策の反映を検討してみましょう。

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