インターネット上には、世界中の様々なコンテンツが存在していますが、これらのコンテンツを無断で不正利用する「著作権侵害」も数多く発生しています。
インターネットは、誰でも簡単に情報を発信することが出来るため、侵害している認識はなくても、実は侵害してしまっていたというケースもあります。
DMCA は、著作権侵害の被害を受けた際に、速やかに侵害されたコンテンツを取り下げるための法的な仕組みを提供しています。特に、Google のような大手プラットフォームに対して DMCA 申請を行うことで、不正に公開されたコンテンツを検索結果から除外することができます。
しかし、申請の手続きや書類に不備があると、却下される可能性もあるため、正しい申請方法と注意点を理解しておくことが重要です。
この記事では、DMCA 申請の基本的な流れや、申請時の注意点、そして申請が認められるためのポイントについて解説します。
DMCA(Digital Millennium Copyright Act)の概要
DMCA(デジタルミレニアム著作権法)は、1998年にアメリカで制定された法律で、インターネット上の著作権を保護するための法的枠組みです。
特に、インターネット上で無断使用された著作物の削除依頼を簡便に行うことができ、コンテンツ制作者や著作権者にとって非常に重要な法律です。
著作権侵害が発生した際、著作権者は侵害しているコンテンツをホストしているウェブサイトや検索エンジンに対して、コンテンツの削除を求める申請を行うことができます。
DMCA の主な目的は、著作権を守りつつインターネット上の自由な情報のやり取りを両立させることにあります。
インターネットが普及する中で、情報やコンテンツの無断使用が問題となり、著作権を持つクリエイターの権利を保護するための新しい法整備が求められていました。DMCA はその要望に応える形で生まれ、著作権者が迅速かつ簡単に対応できる仕組みを提供しています。
DMCA はアメリカの法律ですが、グローバルに展開しているインターネットサービスにおいても大きな影響を与えています。
特に Google のような大手プラットフォームは、DMCA に準拠した対応を取っており、日本国内の著作権者もこの仕組みを利用して自分の権利を守ることが可能です。
日本でも同様の著作権保護制度はありますが、DMCA の活用ができることで、より広範囲にわたって著作権侵害に対処できるのです。
GoogleへDMCA申請するとどうなる?
Google が DMCA に抵触しているコンテンツだと判断しても、そのページ自体が削除されるわけではありません。Google のインデックスから削除されるのみです。
インデックスから削除されるため、そのページが Google 検索でヒットすることはなくなりますが、ページは存在するので、そのURLを直接叩けば、通常通りページそのものを見ることができる状態です。
しかし、Google の検索結果に表示されることがなくなることで、自然検索を経由してユーザーがそのページに流入することはなくなるため、そのページの露出は少なからず減少することでしょう。
DMCA申請の流れとやり方
それでは実際に、DMCA の申請方法を解説していきます。
まず、Google の著作権侵害の報告を行うフォームにアクセスします。
連絡先情報の各項目(氏名※、会社名、対象となる著作権者※、メールアドレス※、国/地域※)を入力・選択します。以下、※印は必須項目
続けて、「申し立ては、予定されているライブイベントの不正なストリーミングに関連していますか?※」という設問に「はい」または「いいえ」を選択します。
動画や音声のコンテンツが著作権侵害の対象であれば「はい」、文章や画像のコンテンツが著作権侵害の対象であれば「いいえ」を選択します。
次に、「対象著作物の特定と説明※」と、「正当な対象著作物を確認できる場所※」の項目を入力していきます。
続けて、「権利を侵害している著作物の場所※」の項目を入力し、「誓約文」にある各項目※の記載内容を確認し、チェックボックスにチェックを入れます。
最後に、「署名日※」と「署名※」を入力して、reCHAPCHA のチェックを入れて、「送信」をクリックして完了です。
申請情報の確認方法
DMCAを申請すると、その申請内容は「Lumen」というDMCA侵害の報告内容が保存されているサイトで公開されます。
対象サイトのドメイン名などで検索すると申請した内容がヒットします。調べれば第三者が申請内容を調べられることをあらかじめ認識しておきましょう。
申請者の氏名や申請内容が公開されるため、DMCA の申請を検討している場合は慎重に判断してください。
DMCA申請時の注意点
DMCA 申請は、インターネット上で著作権侵害に迅速に対処できる便利な手段ですが、申請の際にはいくつかの重要な注意点があります。これらを無視してしまうと、申請が却下されたり、逆に自分自身が法的責任を問われる可能性もあります。
DMCA 申請は、申請者が自らの著作権を侵害されていると主張する法的な手続きです。したがって、虚偽の申請を行うと、重大な法的責任を負うことになります。虚偽申請は、相手方に対して損害を与える可能性があり、訴訟の対象となることも考えられます。
例えば、実際には著作権を所有していないコンテンツに対してDMCA 申請を行った場合、悪意のある主張として、相手から逆に訴えられるリスクが高まります。そのため、申請を行う前には、申請するコンテンツが本当に自分の著作権を侵害されているものであるか、慎重に確認する必要があります。
DMCA 申請が却下される理由はいくつかありますが、主なものとして以下の点が挙げられます。
- 不正確な情報 … 申請内容に不備がある場合、例えばURLが間違っている、著作権者としての情報が不足している、などの場合には Google が申請を受け付けない可能性があります。すべての情報を正確に記入することが重要です。
- 著作権保護の対象外 … 申請したコンテンツが、著作権の保護対象にならない場合も却下されることがあります。例えば、公共の財産として扱われている作品や、著作権が存在しないコンテンツは申請対象外となります。
- フェアユースの適用 … 一部のコンテンツは「フェアユース(公正使用)」として、著作権者の許可なく使用される場合があります。このようなケースでは、申請が通らないこともあるため、フェアユースが適用される可能性を考慮した上で申請を行うことが大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか? 今回は、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)の概要と、その申請方法について解説いたしました。
DMCA は、インターネット上で著作権を侵害された際に、そのコンテンツを迅速に削除するための強力な手段です。
著作権者が自分の権利を守るためには、正しい手順で DMCA 申請を行うことが重要であり、虚偽申請や不備のある申請を避け、適切な情報を提供することが求められます。
著作権を侵害されている場合は、まずはその侵害しているコンテンツの運営元と可能であれば連絡を取り、解決を図りましょう。その際の履歴を記録に残しておくことも大切です。それでも解決しない場合には、DMCA の申請を検討することをおすすめします。
「著作権を守るための申請」という DMCA の本来の利用用途を逸脱しないこと、また、申請すること自体、および、申請が承認された場合の影響範囲をしっかりと理解した上で、慎重に検討するようにしてください。