現代の SEO において、Google のアルゴリズムは日々進化しています。その Google のランキングシステムの一つである「Passage Ranking」。
従来のページ全体での評価に加え、ページ内の一部のパッセージ(段落やセクション)を評価し、検索結果に反映させるというその新たな仕組みは、従来の検索エンジンの評価方法に変化をもたらしました。
多くのサイトオーナーやマーケターにとっては、この変更がコンテンツ作成にどのような影響を与えるのか、また、最適な対策が何であるのかについて疑問を抱いていることでしょう。
そこでこの記事では、「Passage Ranking(Passage Indexing)」の仕組みを理解し、どのような対策が必要かを詳しく解説します。
Passage Ranking (passage indexing) とは
Passage Ranking とは、Google のランキングシステムのひとつで、2020年10月に内容が告知された比較的新しいシステムです。その内容は、従来のページ全体での評価に加え、ページ内の一部分だけを評価して検索結果を返す仕組みとなります。
もともとは、Passage Indexing(Passage-Based Indexing)という名称で告知されていましたが、「Passage Ranking」が正式名称となりました。
従来のアルゴリズムでは、ページ全体の構成やキーワード、内部リンク、外部リンクといった要素がSEO の評価対象として重要視されていました。
しかし、Passage Ranking は、ページ内の細かなパッセージ(文章や段落)が、ページ全体の文脈とは関係なく、検索クエリに合致している場合に、その部分のみが検索結果として評価されるアルゴリズムです。
これにより、ページ内の検索クエリに合致している重要な情報が記載された部分が高く評価され、上位にランクインする可能性があります。
Passage Ranking 導入の背景
それではなぜGoogleは、 Passage Ranking の仕組みを導入したのか考察してみましょう。
ここからは独自の推察となりますが、ひとつの理由として、増え続けている新しい検索クエリに対応するためと考えられます。
Googleは、「1日に行われる何十億回もの検索のうち、15% のクエリが Google にとって新しい検索である」と発表しています。(参考:Google公式ブログ「Understanding searches better than ever before」)
ユーザーは自分の意図した回答が検索結果で表示されることを好み、よりニッチなワードで検索する傾向が強くなってきています。
また、「全世界のオンライン人口の 27% が、モバイルで音声検索を利用している」というデータもあることから、音声検索も徐々に普及しはじめ、口語で検索されることも新しい検索クエリが増えている背景としてあるのでしょう。(参考:Think with Google 2019 RESEARCH REVIEW:「Insights we uncovered in 2019 that will take you into 2020」)
Googleの検索エンジンは、従来の【ページ全体を評価して検索結果を返す】仕組みでは、ニッチな検索クエリに対する適切な回答となる検索結果を表示させることに課題がありました。
サイト運用者側も、ページ全体で評価されることから、「1テーマ:1ページ」の原則をベースに、ターゲットとするワードに対して1ページを用意するという考え方でコンテンツマーケティングが展開されてきました。
このコンテンツマーケティングの手法が広がったことにより、インデックス量が膨大に増え過ぎたことも、 Passage Ranking が導入された要因としてあるのかもしれません。
どちらにしてもGoogleにとって、Passage Ranking の【ページ内の一部分だけを評価して検索結果を返す】仕組みの方が、ユーザーのよりニッチな検索ワードに対して適切な回答となる検索結果を表示することが可能となります。
さらに、従来のコンテンツマーケティングの手法の概念を覆すことで、良質なコンテンツを持つインデックスページを作成するようにサイト運用者側に働きかけることも狙いとしてあるのではないかと考えます。
Passage Ranking が検索結果に与える影響度
2021年2月に、Passage Ranking が米国の英語検索で導入された際に、海外のランキングチェックツールでは大きな順位変動は見らず、影響範囲は限定的とされています。
これは、前章の「Passage Ranking 導入の背景」で述べさせて頂いた独自の推察からすると、Passage Ranking が主に影響するのは検索ボリュームの多いビックワードではなく、よりニッチな検索ワード(ロングテールワード)であるためと考えます。
特に、ユーザーが具体的な悩みや質問形式のクエリで検索したときに、その Passage Ranking の仕組みが効果を発揮するのではないでしょうか。
Passage Ranking を考慮したサイト運用の施策とは
Passage Ranking の仕組みを理解したところで、どのように対策を講じれば良いのか気になるところでしょう。
Google 側はサイト運用者に、「内部的変更のため、Web サイトに変更を加える必要はなく、ページや記事、マークアップに変更を加える必要もない」旨の発言をしています。
ただし、Passage Ranking 導入の背景から考察すると、よりニッチな検索ワード、中でも質問形式のクエリに影響を与えるため、サイト内に FAQ(よくある質問)コンテンツを用意していない場合は新たに用意する、既に用意してある場合には、よりコンテンツを拡張して充実させるなどの対策を講じるに越したことはないでしょう。
また、ページ内のコンテンツ毎に評価を入れるという仕組みから、ボットが構文を読み取りやすいように、コンテンツのブロックごとにマークアップすることも意識して取り組むべき考えられます。
まとめ
いかがでしたでしょうか? 今回は、「Passage Ranking」について、その仕組みと導入された背景、必要な対策に関して説明しました。
Passage Ranking の導入によって、ページ全体の評価に加え、各パッセージが個別に評価されるようになり、特に長文記事や詳細な解説記事が検索結果で有利になる傾向があります。
そのため、各セクションごとに質の高い情報を提供し、見出しやキーワードの最適化を行うことが重要です。
当社は、この Passage Ranking を意識したコンテンツ作成と SEO 対策を提供しており、Google の最新アルゴリズムに最適化されるようサポートしています。
SEO 対策を講じる上で大切なことは、「ユーザーの利便性の向上」という視点のみだけではなく、「検索エンジンが評価ポイント」を念頭に置いてサイト運用の戦略を立てることだと当社では考えています。
もし、「今後のウェブ戦略でアドバイスが欲しい」「いまのウェブサイトが健全な対策がされているのか、第三者の意見を聞いてみたい」などのご要望がありましたら、是非、当社までお気軽にご連絡ください。