検索エンジン最適化( SEO )において、サイトの評価を高めるために欠かせない要素は数多くあります。その中でも、近年注目されているのが「サイテーション」です。
一般的に、SEO と聞くと「被リンク」や「コンテンツマーケティング」が連想されやすいですが、「サイテーション」も重要な役割を果たしています。
では、サイテーションとは一体何でしょうか?また、被リンクとはどう異なり、自然検索にどのような影響を与えるのでしょうか?
この記事では、サイテーションの意味や被リンクとの違い、さらには検索順位に与える影響について詳しく解説していきます。
SEO に取り組む事業主にとって、サイテーションを正しく理解して戦略に取り入れることで、より効果的な検索順位向上を目指すことができるでしょう。
「サイテーション」とは一体何か?
サイテーションは英語表記で「Citation」となり、日本語訳は「引用」または「言及」です。つまり、自分のビジネスや商品、コンテンツなどに対して、他者が「引用」または「言及」していることを指します。
インターネットマーケティングにおける「サイテーション」とは、他者がウェブサイトや SNS などのインターネット上で、対象となるブランド名(サイト名、会社名、店舗名、サービス名など)や、ビジネス情報(住所、電話番号)について引用したり、言及している(意見を述べている)状態を意味します。
これは必ずしもリンクが貼られている必要はなく、単にブランド名やビジネス情報、または特定のウェブサイトの名前が記載されているだけでサイテーションとみなされます。
サイテーションは、特にローカル SEO において重要視される傾向があり、検索エンジンがその企業やウェブサイトの信頼性や評判を判断するための材料として使用されます。
検索エンジンは、特定のウェブサイトやブランドがどの程度言及されているかを確認することで、その企業の「存在感」や「信頼性」を評価するのです。
被リンク(バックリンク)とどう違うのか
サイテーションとよく比較されるものとして、「被リンク」が挙げられます。被リンクは、他者のウェブサイトから自社のウェブサイトに対して、リンクが貼られている状態です。
自然検索対策として、以前から重要な施策の一つとして位置づけられている「被リンク」。しかし、被リンクにはペナルティを課せられるリスクも存在します。
検索エンジンからの評価を欺くために、ペイドリンク(業者に金銭を支払ってリンクを発注)が過去に流行したためです。
一方のサイテーションは、他者のウェブサイトから自社のウェブサイトにリンクは貼られていない状態で、自社のブランド名(サイト名、会社名、店舗名、サービス名など)や、ビジネス情報(住所、電話番号)、コンテンツなどを他者が引用したり、言及していることを指します。
サイテーションの種類
サイテーションには主に2つの種類があります。それは「構造化サイテーション」と「非構造化サイテーション」です。
この2つのサイテーションは、企業やブランド名がどのようにウェブ上で言及されるかに違いがあります。
構造化サイテーション
構造化サイテーションは、ウェブ上の特定のディレクトリやプラットフォームにおいて、企業の名前、住所、電話番号(NAP: Name, Address, Phone Number)が体系的に表示されている形式のサイテーションを指します。
例えば、Google ビジネスプロフィールが代表的です。企業情報が規則的なフォーマットで掲載されるため、検索エンジンはその情報を簡単に読み取り、信頼性を評価することができます。
構造化サイテーションの最大のメリットは、検索エンジンがその情報を認識しやすく、企業の存在感や信頼性を高めやすい点です。
そのため、構造化サイテーションはローカル SEO の成功に直結する重要な要素の一つとされています。
非構造化サイテーション
非構造化サイテーションは、一般的なウェブページでの企業名やブランド名の言及を指します。例えば、ブログ記事やニュース記事、ソーシャルメディアの投稿で企業名が言及されている場合、それが非構造化サイテーションとしてカウントされます。
このような言及は、規則的なフォーマットではなく、文中に自然な形で出てくるため、検索エンジンはその企業がどれだけ他のサイトで言及されているかを通じて評価を行います。
非構造化サイテーションは、リンクが貼られていない場合でも、言及自体が SEO においてプラスに働くことがあり、特にブランド認知度を向上させる上で有効です。また、企業が業界内でどのように話題にされているかを示す指標にもなります。
サイテーションが自然検索に与える影響
昨今の E-A-T(専門性・権威性・信頼性)を重視する検索エンジンの傾向もあり、筆者は、被リンク(全ての被リンクではなく、良質な被リンク)が SEO に与える影響は、一時期よりも強まっているものと捉えています。
それと同時に、Facebook や Twitter といった、個人が情報を発信して拡散されていく SNS でのコンテンツが自然検索に与える影響も無視できないものと考えています。
SNS の投稿(ツイート)内に URL を記載することで、見た目の上では、リンクさせることは出来ます。しかし、主要な SNS のプラットフォームは、Google 検索エンジンのクローラーに対して、そのリンクを辿らせないように「nofollow」を付与しています。
このことから、Facebook や Twitter などの SNS プラットフォームは、保有するコンテンツの情報保護のために、インターネットシェアの競合となる Google 検索エンジンに対してクロールをブロックさせることを意図していると想像できます。
それでは、SNSからの被リンクは自然検索対策に対する効果が全くないのかと言うと、筆者は、そんなことはないと考えます。なぜなら、この「nofollow」属性は、サイト運用者がリンク先をクロールしないよう検索エンジンにヒントを提示しているだけに過ぎないためです。
参考:進化する nofollow – リンクの性質を識別する新しい方法 | Google 検索セントラル ブログ | Google Developers
ヒントをもとにどのように判断するかは、検索エンジンに委ねられます。つまり、「nofollow」属性であるリンクだと認識した上で、リンク先を評価している可能性もあるとも捉えることが出来ます。
話が「被リンク」に偏ってしまいましたが、先ほどの例、Facebook や Twitter などの SNS プラットフォームの投稿(ツイート)で、自社のブランドやサービス・コンテンツなどに対して、第三者のユーザーが意見をコメントしている状態(ただし、自社サイトへのリンクは貼られていない状態)がサイテーションとなります。
ポイントは、このようなサイテーションが自然検索に与える影響ですが、「自然検索の中でも、MEOに対する影響度が強い」というのが業界では通説として現段階では考えられています。ただしもちろん、SEO にも少なからずの影響を与えているはずです。
しかし、サイテーションは被リンクほどの影響度ではないと思います。その理由は、世界中の数え切れないほどのウェブページをクロールする中で、被リンクの方が構造が分かりやすく、評価が伝わりやすいためです。
著名な Twitter ユーザーの投稿を Google の検索結果で表示されるのを見ることがあります。しかしこれは、拡散性の高い著名人の公式アカウントに限り、ごく一般の市民ユーザーの投稿が Google のインデックスに入ることは、よほどバズらない限りほとんどないでしょう。
Google 検索エンジンは、インデックスするまでに時間がかかり(クローリングしてからインデックス登録をするという流れを取っているため)、鮮度を求めるような情報をユーザーが求めている場合は、SNSを利用する傾向が高いのもこのためです。
Google はこのインデックスシステムの改善に向けて、技術革新や他社とのシステム連携を進めているものと思われます。近い将来で、SNS によるユーザー発信のコンテンツが今以上に Google 検索結果に与える影響は大きくなってくるのではないでしょうか。
サイテーションを増やすための施策とは
サイテーションを獲得する上でまずは下準備として、起点となるウェブサイトとの関係性を検索エンジンに認識させることを意識しましょう。
まずは、自社のブランド名の SNS アカウントを作成しましょう。SNS アカウントを作成することで、引用・言及してもらえる可能性が高まります。しかし、ブランド名や店舗名の正式名称が長い、読み方が分からない、などのケースではユーザーにとって言及がしにくくなるため、新規でブランドの立ち上げから行う場合は、ネーミングにも気を配りましょう。
作成した SNS アカウントには、ブランド名や店舗名(Name)・住所(Address)・電話番号(Phone)といった「NAP情報」とともに、起点となるウェブサイトの URL を明記します。
その際、例えば住所の表記が、「東京都港区六本木1-2-3」と「東京都港区六本木1丁目2-3」というように、表記ブレがあるとサイテーション効果が薄れてしまうため、ウェブ上の NAP 情報の表記は統一するように注意してください。
上記で登録した、起点となるウェブサイトには、NAP 情報を構造化マークアップを設置することで、検索エンジンが情報を認識しやすいように伝えるようにしましょう。
また、実店舗型のビジネス(ローカルビジネス)の場合は、必ず Google ビジネスプロフィール(旧:Google マイビジネス)の登録を行い、Google 検索エンジンへウェブサイトとの紐づけの認識付け強化を図りましょう。
Google ビジネスプロフィールは、SEO に限らず、MEO(Map Engine Optimization)対策に置いても必須のツールとなります。Google ビジネスプロフィールをまだ登録していない場合は、下記記事を参考に導入をしてみてください。
Google ビジネスプロフィール (旧:Googleマイビジネス) を活用して集客に繋げる方法
https://strategy-code.com/marketing-colum/seo/how-to-use-google-my-bussiness/
最後に、自社ブランドの認知度を高めてサイテーションを獲得するにはためには、リスティング広告などのウェブ広告を運用することもおすすめです。
特にブランドが軌道にのるまでは、作成した SNS アカウントにフォロワーが集まっていない状態で、いくら投稿を行っていても、アプローチできるユーザー数に限りがあります。
一定数のフォロワーを獲得するまでに時間を要するため、SNS のオーガニック投稿や、SEO などの自然検索だけではアプローチできないユーザー層にブランドを浸透させるためにも、ウェブ広告へ出稿することで、ビジネスの加速に繋げましょう。
サイテーションの状況を調べる方法
被リンクであれば、自社サイトへのリンク状況をサーチコンソールや ahrefs などのツールを使用することで、比較的簡単に確認することが出来ます。
一方で、サイテーションはリンクが付いていないため、上記のようなツールではどれだけサイテーションを獲得しているのか確認することが出来ません。これがサイテーション対策という施策を難しくさせている一因です。
まず、Twitter 上でのサイテーションの状況を確認するためには、「Yahoo!リアルタイム検索」を利用して調べる方法が挙げられます。
Yahoo!リアルタイム検索では、Twitter に投稿された非公開に設定されていない日本語のツイートを検索することが出来ます。
Instagram や Facebook に関しては、それぞれのプラットフォームでブランド名を直接検索し、ヒット数を確認します。
また、Google でのサイテーションを確認するには、Google の検索コマンドを使用します。ただし、Google の検索エンジンにインデックスされているページのみが調査できる対象となります。
例えば、ブランド名を「””」(ダブルクォーテーション)で括って検索をかけて、完全一致するフレーズが含まれるウェブページを抽出したり、ブランド名の前に「intext:」入れて検索をかけて、特定のフレーズが ページ内のテキストに含まれるウェブページを抽出したりすることが出来ます。
検索コマンドについて詳しく知りたい方は、下記記事を参考にしてください。
検索エンジンマーケティングに重宝する【Google 検索コマンド】を紹介
https://strategy-code.com/marketing-colum/seo/google-search-command/
まとめ
如何でしたでしょうか?今回は、サイテーションの意味や被リンクとの違い、その効果などについてご紹介いたしました。
サイテーションは、企業の認知度や信頼性を高め、検索エンジンでの評価を向上させるために欠かせない要素です。しかし、効果的にサイテーションを活用するためには、戦略的なアプローチが必要です。
特にローカル SEO においては、企業やブランドがどのようにインターネット上で言及されているかが、検索順位に大きな影響を与えます。
また、一口にサイテーションと言っても、対象となるブランドに対するポジティブなもの(肯定的な言及)もあれば、当然、ネガティブなもの(批判的・否定的なレビューなど)も存在します。
ネガティブなサイテーションばかりになってしまうと、 Google から低評価を受けてしまう可能性があるため、注意が必要です。
どこの記事にも書かれているような内容になってしまいますが、まずは第三者に肯定的に受け入れてもらえる良質なサービスやブランドを追求して、育てていくことが最も大事なことと言えますよね。
当社ではローカル SEO を強化し、効果的にサイテーションを獲得するためのサポートを提供しています。ご興味をお持ち頂けましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。