Meta 広告(旧:Facebook 広告)を利用する際に「ビュースルーコンバージョン」という指標を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
この指標は、広告をクリックしなかったユーザーが、後日ウェブサイトを訪れ、購入や問い合わせなどの行動を起こした際に計測されるものです。一見、目立ちにくい効果に思えますが、広告の影響力を測る上で重要な要素です。
本記事では、Meta 広告(旧:Facebook 広告)のビュースルーコンバージョンについて、その仕組みや設定方法、効果的な活用法を解説します。
Meta 広告のビュースルーコンバージョンの仕組み
ビュースルーコンバージョンは、ユーザーが広告を視認した後、別の経路でウェブサイトを訪問し、購入や問い合わせなどの行動を取った場合に計測される指標です。
ビュースルーコンバージョンを計測することにより、広告の間接的な影響力を把握することが可能となります。
計測条件(広告視認の判定)
Meta 広告(旧:Facebook 広告)のビュースルーコンバージョンが計測されるための広告視認の判定基準は、広告の50%以上がユーザーの画面に、1秒以上表示された場合です。
期間(アトリビューションウィンドウ)
アトリビューションウィンドウは、広告の影響を評価するための期間を指します。Meta 広告(旧:Facebook 広告)のビュースルーコンバージョンは、広告の視認から1日間です。
これらの計測条件と期間が満たされた場合、その後のユーザー行動に基づきビュースルーコンバージョンが計測され、クリック率だけでは分からない広告の間接的な影響を評価できます。
ビュースルーコンバージョンの重要性
ユーザーが広告をクリックしなかった場合でも、広告を視認したことでその後の行動に影響を与えることが多々あります。
この効果をビュースルーコンバージョンで把握することにより、広告運用を最適化し、より効率的なマーケティング戦略を立てることが可能です。
例えば、ビュースルーコンバージョンは直接的な販売効果だけでなく、ブランド認知の向上を示す指標としても活用されます。
ユーザーが広告を視認後、特定の製品やサービスを検索したり、数日後に購入したりする場合、広告が潜在的な需要を引き起こしたと考えられるため、目に見えにくい効果を分析する上で有益です。
クリックスルーコンバージョンや、エンゲージビューコンバージョンとの違い
「ビュースルーコンバージョン」と「クリックスルーコンバージョン」の他に、最近では「エンゲージビューコンバージョン」という指標も存在します。
これらはいずれも広告の効果を測定するための重要な指標ですが、それぞれ異なる視点から広告の成果を評価します。それぞれの違いを理解しましょう。
クリックスルーコンバージョン
クリックスルーコンバージョンは、広告をクリックしたユーザーがその後コンバージョン行動を取った場合に計測されます。クリックが行動に直結しているかを把握できます。設定できるアトリビューションウィンドウは、クリックから「1日間」 または 「7日間」で選択できます。
エンゲージビューコンバージョン
エンゲージビューコンバージョンは、動画広告でのみ利用できます。スキップ可能な動画広告を、ユーザーが10秒以上再生した後、コンバージョン行動を取った場合に計測されます。アトリビューションウィンドウは、エンゲージビューから「1日間」です。
ビュースルーコンバージョンの設定方法
ビュースルーコンバージョンを計測するためには、Meta(旧:Facebook)の広告マネージャーからピクセルを発行して、計測対象のウェブサイトに設置する必要があります。
ピクセルを設置するためにはまず、データセットを発行します。Meta(旧:Facebook)広告マネージャーにログインして、「ビジネス設定」を選択します。
「データソース」の項目の中にある、「データセット」を選択し、「+ 追加」をクリックします。
データセットの名前を入力し、「作成」をクリックします。
作成したデータセットから、「イベントマネージャーで開く」をクリックします。
「Metaピクセルを設定」をクリックします。
手動で設置する場合は「コードを手動でインストール」を、CMS などと連携できる環境の場合は「パートナーを確認」を選択します。(※この記事では、手動を選択して説明します)
ピクセルのベースコードが表示されるため、「コードをコピー」を選択して、計測対象のウェブサイトの<head>~</head>タグの間に貼り付けて反映したら、ピクセルの設置は完了です。
特定の行動をコンバージョンとして設定する場合は、ピクセルの設置完了後に引き続き、カスタムコンバージョンの作成を行いましょう。
ビュースルーコンバージョンの確認方法
広告マネージャーのレポート画面でビュースルーコンバージョンの数値を確認するには、「列: 」を選択して表示される項目の、「アトリビューション設定を比較」をクリックします。
「View」の中にある、「表示から1日間」にチェックを入れ、コンバージョンカウント方法を「すべてのコンバージョン」・「最初のコンバージョン」・「両方」のいずれかを選択して、「適用」をクリックします。
これで、ビュースルーコンバージョンの数値が表示されます。
ビュースルーコンバージョンによる評価が効果的なケース
ここでは、ビュースルーコンバージョンを活用して広告の評価をすることが、特に効果を発揮するケースをいくつかご紹介します。
ブランド認知を目的とする業種
ファッションや化粧品、飲料などといった、ブランドや商品の認知を広げることが目的の場合、ビュースルーコンバージョンを測定することで広告が消費者の行動にどのように影響を与えたかを把握できます。
購買検討期間が長い業種
不動産や自動車、教育サービスなどといった高額商品やサービスは、意思決定までの検討期間が長くなる傾向があります。そのため、広告視認による間接的な影響を測るビュースルーコンバージョンが適しています。
新商品のプロモーションやキャンペーン
新商品の告知や季節キャンペーンの広告は、ユーザーが広告を視認した後、少し時間をおいて行動を起こすケースが多いため、ビュースルーコンバージョンで間接的な影響を計測する必要があります。
オンラインショップ(ECサイト)
雑貨、アパレル、家電製品などのオンラインで販売する商品は、広告をクリックせずに後日購入するユーザーの行動を把握することで、広告の全体的な影響力を見極めることができます。
ビュースルーコンバージョン活用時の注意点
ビュースルーコンバージョンは、広告効果を評価する上で役立つ指標ですが、注意点も理解しておく必要があります。
まず、ビュースルーコンバージョンは、広告以外の要因で発生したコンバージョンも計測に含まれる可能性がある点です。
例えば、広告を視認したものの、元々購入を予定していたユーザーがコンバージョン行動を取るケースでは、広告が直接的な効果を持たない可能性があります。
対策としては、ビュースルーコンバージョンの数値だけに頼らず、他の指標(例:クリックスルーコンバージョンなど)と併せて総合的に判断することが重要です。
さらに、ビュースルーコンバージョンは、同一ユーザーが複数の広告を視認した場合でも重複して計測される場合があるため、数値をそのまま受け取るのではなく、広告ごとのユニークな効果を比較することが重要です。
つまり、ビュースルーコンバージョンは単独で広告の成果を完全に測定するものではなく、クリックスルーコンバージョンやリーチ、エンゲージメント率といった指標と併用することで、広告効果をより多角的に評価できるようになります。
まとめ
Meta広告(旧:Facebook広告)におけるビュースルーコンバージョンは、ユーザーが広告をクリックしなくても、その後の行動に影響を与えたかどうかを測定する重要な指標です。この指標を活用することで、広告の間接的な効果を正確に把握し、広告運用の最適化に役立てることが可能です。
本記事では、ビュースルーコンバージョンの仕組みや重要性、設定方法、さらには注意点まで詳しく解説しました。計測条件を理解し、クリックスルーコンバージョンやエンゲージビューコンバージョンとの違いを踏まえたうえで、適切に活用することが大切です。
また、他の指標と組み合わせて分析することで、より効果的かつ多角的に広告効果を評価できるので、是非、効果測定の指標の一つとして活用してみてください。